愛玩動物看護師生涯教育講座

愛玩動物看護師生涯教育講座の本格実施に向けて

 (一財)動物看護師統一認定機構 機構長 酒井健夫


 令和4年6月17日に施行されました愛玩動物看護師法の第1条(目的)には、「この法律は、愛玩動物看護師の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって愛玩動物に関する獣医療の普及及び向上並びに愛玩動物の適正な飼養に寄与することを目的とする。」と定められています。

 従って、愛玩動物看護師の皆さんは、日々発展し進化する動物看護学を実践するために、国家試験合格後も生涯にわたり、学術的にも技術的にも専門職業人として知識を広げ、技術を磨き、常に学修し、自己研鑽する必要があります。愛玩動物看護師の生涯教育は、あくまで愛玩動物看護師の皆さんが自主的に行うことが理想ですが、効果的かつ適切な自己研修や自己学習をサポートするため、動物看護師統一認定機構が生涯教育講座を実施しています。本制度は、愛玩動物看護師の自己研鑽・自己学習の意欲を啓発させること、また愛玩動物看護師法第41条(獣医師との連携)にあります通り、「愛玩動物看護師は、その業務を行うに当たっては、獣医師との緊密な連携を図り、適正な獣医療の確保に努めなければならない。」を適切に推進することにもなります。


 そのため、動物看護師統一認定機構では、前期(令和5年9月1日~令和6年8月31日)に、愛玩動物生涯教育委員会を設置して、生涯教育講座の試行を3回実施しました。しかし、残念ですが期待した参加者が得られませんでした。そのことを反省材料として、今期(令和6年9月1日~令和7年8月31日)は、専門分野でご活躍のお二人の先生による生涯教育講座を本格的に実施いたします。

 今期からの講座では、担当される講師の先生方と制作業者が綿密に連携し、獣医療の診療現場の実情を考慮し、来院症例の中で高齢動物が比較的多いことから、歯科及び神経疾患等を中心に5回にわたるビデオ教材の配信を企画しました。今期最初の第4回の講座のタイトルは「歯科治療における愛玩動物看護師の役割」で、講師は藤田桂一先生(フジタ動物病院院長、日本小動物歯科研究会会長、日本大学生物資源科学部獣医学科非常勤講師)です。第5回の講座は、タイトル「犬と猫の歯周病の検査・診断・治療とデンタルケア」で、講師は同じく藤田桂一先生です。第6回講座のタイトルは「神経の解剖・生理と神経学的検査」で、講師は北川勝人先生(日本大学生物資源科学部獣医学科 獣医神経病学研究室教授、同学部獣医保健看護学科非常勤講師)です。第7回講座は「神経学的補助検査と代表的な神経疾患」、第8回講座は「神経疾患動物の看護」で、講師はいずれも北川勝人先生です。


 本生涯教育講座は、愛玩動物看護師であればだれでも参加することが出来ます。この生涯教育講座に参加することによって、愛玩動物看護師が社会や獣医療施設の期待に応える活動が実践できるようになると確信します。そのため、本機構においても生涯研修講座及びプログラムを効果的、継続的に提供するよう全力で取り組むとともに、今後は生涯教育講座による自己研鑽の達成度や到達度が把握できるように「ポイント制」の導入計画、及び本講座の達成状況に応じた「修了証及び認定証」の交付等を検討してまいります。

 本生涯教育講座は、主務省をはじめ関係機関のご協力、及び本機構の生涯教育委員会のご努力により、これまで、そして今後も実施することが出来ます。ご協力いただいた関係機関及び関係者に厚く御礼を申し上げます。